私が単純なのは自覚している。

でもお腹が空いてたら何もする気は出ないっ!!


単純すぎてその内見知らぬ人に騙されたりしない…よね?

私に限ってそれはない。


詐欺なんて今まで遭わなかったし!



「マロちゃーん」



マロのご飯を持ったままどこかに行ったマロを呼びかけ、探す。



「にゃ」


「あ、ここにいた。今日お散歩行ってきていいよ!」



それっきり返事は返ってこなかったけど、横目で確認したマロの尻尾が上がっていて私は笑みを溢した。



「ご飯はここに置いておくね」



マロがいつもリビングのテーブルの下で食べるからそのテーブルの下にお皿を置く。



「ここの窓も開けておくからね! ちゃんと暗くなる前に帰ってくるんだよ?」



私はなんでもかんでもマロに尽くしている気がするなぁ~と、ひとり微笑む。



「次は私のご飯~」



ふらふらとした足取りで弱火で温めていた料理の様子を見に行く。

火の元を離れるなんてほんとはだめだけどね…あはは。



「そら」
「ぼく」
「たべりゅ」


「ええっ! 食べるの?」



精霊さんはこくこくと首を振った。


精霊さんが食べるとなると……食材明日まで保つかな…。心配だ。


精霊さんは一日食べる日があると、その日は地獄のように私は料理を作る羽目になる。


たまには良いんだけど…この間の悪夢が脳内をよぎって気持ちが重くなる。



精霊さんも食べたいって言うから作ったのに、精霊さん同士の食べ物の取り合いになって喧嘩が発展。

皿を割ったり料理を撒き散らしたり……。


思い出すだけで気が遠くなりそう…。


片付けするだけなのに心が折れそうだった。

あれは精神が鍛えられる出来事だったな~と、しみじみ思う。