私の小さく呟く不満なんか聞いて無いしっ…。

「いいじゃん、別にっ。」

あっ…聞いてたっ?

てか、よくないっ…てばっ!

だいたい…スゥが私のアパートに居ること自体が間違ってる。

微笑ましい恋人同士の朝の渋滞……

じゃないっ。

じゃないんだからっ!!


桐島 朱雀(20) 通称スゥは、

私、桐島 小春(21)の弟。

同い年の弟。

血の繋がらない弟。

〝いいじゃん、別に…〟とか言って、私を後から抱き締めるのもやめて欲しい。

襟足に触れる艶感のある髪。

まるで獲物を狙うかのような大きくて攻撃力のある瞳。

それでいてすぐにでも…心を許してしまいそうな厚みのある唇。

それなのに突然…喉仏の辺り…とか
シャープでゴツっとしてて…つい見ちゃう。

首より下…以下…しまった筋肉しかない身体。


そんなスゥを弟だなんて思ったことは…

無い。

だって出会った時からスゥは男の子だった。