リュウといると会話が尽きない。

すれ違った人の髪色のカラー剤の番号を当てっこしたり…

〝あの人、パーマかけた方が似合いそう〟、なんて、ついつい勝手なお節介を言い合ったり…

水面に映ったお互いの顔に会話をしてしまってハッとしてぷっと吹き出す。

鏡越しに会話をする美容師あるあるだと思う。

「今日は仕事のこと忘れたいんだけどっ!(笑)」

そう言うリュウはニコニコしている。

「リュウを見てると、仕事…好きなんだなぁ〜って思うよ。」

「(笑)そんなことないよ。筋トレしてる方が楽しいしっ。」

照れ隠しにそんな風に言ったリュウは、遊覧船から手を振る子供たちに手をふり返した。

はしゃぐ子供たち。

運河にかかるレンガ色の橋の上から、私たちは小学生らしき子供たちに大きく手をふり返す。

「夏休みだもんね〜。」

「俺たちも…こんなんだったのかな。」

リュウは切なさを隠して子供たちに笑顔を向ける。

旅先での一瞬の出会いに、盛り上がる小学生。

引率の先生に〝座れーーー!〟なんて注意をされている様子が伺える。