駐車場に着いてからも、千里さんは私が乗るまで傘を差してくれていた。口とは裏腹にこういうところが妙に紳士的だから、さっきから胸キュンしっぱなしである。
運転席に乗り込んだ彼は、若干濡れた肩を払って口を開く。
「ほかにどこか行きたいところがあるなら連れていくけど。せっかく車で来たんだし」
「えっ、いいんですか!?」
本当に千里さんかと疑うような意外な言葉が飛び出したので、私は思わず食いついた。
これからデートができるってことだよね? 千里さんと食事以外でお出かけしたらどうなるんだろう、っていう興味はずっとあったからぜひ行きたい!
以前の彼ならきっとこんな提案はしなかったはず。この間から、やっぱり彼も私に合わせようとしてくれている気がして、感動する私は表情筋が緩みまくっている。
「夫婦初デートですねぇ。うふふふ」
「急に寒気が」
テンションが上がって気持ち悪い笑い方をする私に、彼はぶるっと身震いした。そのリアクションには物申したいところだが、今はそれよりも楽しさのほうが上回る。
私の服装もベージュのシアーシャツに白のロングスカートという、まあまあ女らしいコーデにしてよかったと思いつつ、どこへ行くかを思案し始めた。



