俺様パイロットは契約妻を容赦なく溺愛する【極上悪魔なスパダリシリーズ】


 パイロットの彼が車を運転するというのがなんだかミスマッチな気がするけれど、それはそれでよし。

 ネイビーのコーチシャツを羽織り、グレーのパンツを合わせた今日のスタイルも、休日仕様のラフなショートヘアも、もちろん文句なしのビジュアルである彼が運転する姿はずっと見ていられそうだった。

 これからまた車に乗ろうというところだが、区役所に入るまではかろうじて降っていなかった空を見上げてひとりごつ。


「やっぱり航空気象はすごいなぁ、バッチリ的中」
「誰かさんが飲んだくれてこなければ午前中に出かけられたんだが」
「……すみませんね」


 あからさまな嫌味を言う天澤さんに、私は口の端を引きつらせて棒読みで謝った。昨日美紅さんと飲んで帰ってきたときには、無理に早起きしなくてもいいと言ってくれたくせに。

 意地悪な笑みを浮かべている彼は、念のために持っていた傘を開き、私たちの上にかざした。駐車場まで少し歩くだけだからと一本しか持ってきていなかったのだが、いざ相合傘をするとなるとちょっと照れる。

 遠慮がちに肩をすくめて歩き出すと、天澤さんは自然に車道側に回った。意地悪だけれど、こういうさりげない気遣いは忘れないのだと実感するたび胸が鳴る。