俺様パイロットは契約妻を容赦なく溺愛する【極上悪魔なスパダリシリーズ】


「保険! 入るの忘れてた!」


 サーッと血の気が引くのを感じながら叫ぶと、天澤さんの心底呆れた様子のため息が聞こえた。

 約三カ月前に賃貸契約をしたとき、火災保険は不動産屋が勧めるものより自分で選んだほうが安い場合があると周りに教えられ、あとで加入することにした。にもかかわらず、忙しさにかまけてすっかり忘れていたのだ。

 ということは、住む場所を確保するだけでなく、家具やら家電やらもすべて自己負担で新たに揃えなければいけない。貯金がないわけではないが、すべて賄うとなったら考えるだけで恐ろしいことになる。


「どうしよう……冗談抜きで無一文になってしまう〜」
「自業自得だな」
「重々反省しているので傷を抉らないでください……」


 容赦ない言葉を投げかけられ、私は半泣き状態で落ち込みまくっていた。天澤さんは見兼ねた様子で問いかける。


「実家には頼れないのか?」
「家は山梨なんで、そこから通勤するのはきついです。たとえ近くても、一度家に戻ったら結婚させられて仕事も辞めることになりかねません。私の父、軽く引くレベルで過保護な親バカなので」