俺様パイロットは契約妻を容赦なく溺愛する【極上悪魔なスパダリシリーズ】


 そうして食事を終え、母と片づけをしている最中、これまで珍しく口数の少なかった父が突然真剣な顔で言う。


「母さん、つぐみ、少し席を外してくれないか。男同士で話したい」


 思わぬ言葉に、私たちは驚いてぴたりと動きを止めた。お父さん、一体なにを話すつもりなんだろう。

 胸がざわめくのを感じて戸惑っていると、母も怪訝そうな顔をして口を開く。


「……テーブルひっくり返さないでね?」
「そんな昭和の親父みたいなことしないから!」


 心配そうにする母に即座にツッコむ父。冗談じゃなく、キレたりしないでほしい。

 千里さんも、おそらく今が話すチャンスだと悟ったらしく、穏やかだった表情を真剣なものに変えて父を見据える。

 父の思惑は謎だが、とりあえず言う通りにしたほうがよさそうなので、母と一緒にリビングを出た。


「しょうがないから洗濯物片づけてくるけど……なんか心配ね」
「私、ここにいるから大丈夫だよ」


 リビングのドアの手前で様子を窺うことにした私は、そう言って母に微笑みかけた。

 母は渋々頷き、二階へと階段を上がっていく。その直後。