「来てくれてありがとう。上がってくれ」
意外にも受け入れる姿勢を見せるので、私は拍子抜けした。もっと威嚇してくるかと思ったんだけどな。
なんだかよそよそしい父が不思議で、私たちは一度目を見合わせてから中に上がった。
久々の実家は、全然変わっていなくてとても安心感がある。ダイニングテーブルには母お手製の手料理の数々が並んでいて、美味しそうな香りにお腹の虫が鳴った。
お昼ご飯を食べ始めると、さっそく母の質問攻めも開始した。パイロットの話に興味津々なのはわかるし、千里さんも嫌な顔をせず答えてくれているけれど、ゆっくり食べさせてあげて……と苦笑いする。
昨日のエンジン火災の件もニュースになっていたため、余計に気になったようで話は尽きなかった。
私の兄たちについても、千里さんにいろいろと話した。最近それどころじゃなくてあまり連絡は取っていなかったけれど、とりあえずふたりとも元気にやっているようでほっとする。
兄たちにも千里さんを会わせてあげたいな。そして私も、千里さんのお母様に会いたいし、お父様のお墓参りにも行きたい。
お互いの家族がこうして繋がっていくんだなと、温かいものを感じながら和やかに食事をしていた。



