「あのとき電話したのはそれを聞くためだったんですね!?」
『やっと気づいたか』
やっぱり用事があったんじゃない。でも、まさか指輪のサイズを聞きたかったとは予想外すぎる。
ただ結婚に必要なものだったからとはいえ、千里さんが私のためにそこまでしてくれていたなんて、とっても幸せな気分になる。
「ありがとうございます。嬉しい、すごく」
自然に頬が緩んで、心からの声をこぼした。千里さんからの初めてのプレゼント、ずっとずっと大切にする。
きゅっと握った左手を胸に引き寄せて喜びに浸っていると、しばらくして『つぐみ』と呼ばれた。
『帰ったら、話したいことがある』
「えっ……?」
先ほどとは違う真剣な口調で告げられ、華やいでいた胸が急にざわめき出す。
話したいこと? 一体なんだろう、そんなに改まって。声色から察するに、大事な内容っぽいけれど……まさかこの間のキスの理由、とか?
急にまた怖くなってきて深く聞くのがためらわれ、「わかりました」としか答えられなかった。
彼が帰ってくるのは二日後の夜。それまでまた悶々としてしまいそうだ。



