俺様パイロットは契約妻を容赦なく溺愛する【極上悪魔なスパダリシリーズ】


 数日後の、いつもと変わらない清々しい朝。天気は良好にもかかわらず、私は少々うんざりした気分でスマホを耳に当てている。

 オフィスに向かっているところで実家から電話がかかってきたのだ。昨日の夜にもかけてくれていたのに、気づかず寝てしまっていたから心配したのだろう。

 とはいえ、朝は忙しいに決まっているのだからメッセージにしてほしい。

 私の文句はさておき、親バカな父は切実そうに問いかけてくる。


『つぐみ、次はいつ帰ってくるんだ? 盆休みは?』
「お盆休みなんてないよ。世間が休みのときに私たちは忙しいんだってわかりきってるでしょ」
『それはそうだが……一応聞いてみただけだ』


 口を尖らせて拗ねる父の様子が目に浮かぶ。

 子供の私より子供みたいな父は、母にも兄たちにも呆れられている。昔から子煩悩であることには違わないし、いい父親なのだけれど。


『父さんも母さんも、つぐみが心配なんだよ。最近めっきり帰ってこなくなったし』
「ごめん、勉強で大変なの。でも来月こそは帰るから」


 実家に顔を出せていない件については申し訳なく思っているので、素直に謝った。ステップアップするための勉強でいっぱいいっぱいなのだが、親孝行もきちんとしなければ。