肩を落とし、うなだれてデスクに向かって歩いていた、そのとき。
「よかったな、インシデントにならなくて」
ふいに冷たい声が聞こえ、私はびくりと肩を震わせた。恐る恐る目線を上げると、そこにいたのはやはり制服姿の千里さんだ。
ブリーフィングをしにやってきたのだろう。すでに私のミスについても知っているらしい。
昨夜以来まともに顔を合わせたが、気まずさなどどこかへ吹っ飛んでいる。今はただ、恐怖や不甲斐なさで一杯で委縮してしまう。
「お前が担当してた航空機、数秒とはいえ急降下したんだろ。条件次第では大事故に繋がっていたかもしれない。数百人の命が危険にさらされたも同然だ」
──重いひと言と厳しい目線が突き刺さり、一瞬息ができなくなるほどのダメージを受けた。
彼の言うことはもっともで、私のせいで皆を危険な目に遭わせたのだと実感し、頭がぐらぐらしてくる。
「天澤さん……! 今回のことは私の責任でもありますし、つぐみちゃんもちゃんとわかっていますよ」
美紅さんが慌ててフォローしてくれるけれど、彼の峻厳たる表情は変わらない。



