俺様パイロットは契約妻を容赦なく溺愛する【極上悪魔なスパダリシリーズ】


 今の無線が入る前に、他機から情報が入っていた可能性はある。それをきちんと聞いていたら、揺れを避ける高度やルートをアドバイスできていたのに。

 激しく後悔する私に、美紅さんは固い表情で頷く。


「わかった。他機には私が伝えるから、整備に連絡してくれる?」
「はい」


 反省するのはあとだ。今はとにかく、これ以上の影響が出るのを防がなければ。

 少しだけでも気を落ち着かせようと一度深呼吸をして、受話器を手に取った。



「申し訳ありませんでした!」


 普段通りの状況に戻った頃、オペレーション部の部長に報告してお叱りを受けたあと、私は美紅さんに向かって深々と頭を下げた。教育係である彼女まで怒られてしまったのだ、申し訳なくて仕方ない。

 彼女は口元を緩め、「任せっきりにしちゃった私も悪いし、もう気にしないで」と私を元気づけるように明るく言う。


「無線って忙しいと聞き逃しちゃうのよね。私も何回か経験あるよ。今回は大事にならなかったけど、十分気をつけてね」


 私は猛省しながら「はい」と返事をした。昨夜のことで集中力が散漫になっていたのかもしれない。自分の至らなさに嫌気がさして、とことん落ち込む。