「パイロットや管制官は能力が足りなくて厳しいので、だったら私にもできそうなほかの業務でサポートしようと思って。オペレーションもパイロットとやり取りできるし、一緒に飛ばしてるんだって実感が得られるから」


 美紅さんくらい経験を積むと、パイロットと出発前のブリーフィングができるようになる。今私が目指しているのはその段階だ。

 そしていつかは、〝地上のパイロット〟と呼ばれているくらい重要な任務であるディスパッチャーの資格を取りたい。

 そう思うようになったのは、自分も一緒に飛行機を飛ばしたいという漠然とした願望があったから。


「というのもひとつの理由なんですけど……」


 まず大前提にあるのが、飛行機が大好きだという気持ち。それが芽生えたときが、航空業界に飛び込むことになった一番のきっかけだろう。


「初めて飛行機がテイクオフした瞬間を見たとき、ものすごく興奮したんです。あんなに大きい機体を宙に浮かせられるなんて! パイロットも飛行機もめちゃくちゃカッコいい~!って」


 目を輝かせて熱弁しだす私を、彼はやや驚きを含んだ瞳で見つめる。