俺様パイロットは契約妻を容赦なく溺愛する【極上悪魔なスパダリシリーズ】


 今のは単なる悪口でしょう。しかも、それを妻である私に言うなんて失礼すぎる。夫婦関係を悪化させたいのだろうか。

 原因はわからないが、真柴さんが千里さんをよく思っていないのは明らかだ。千里さんと組むのを嫌がる機長って真柴さん本人なのでは……?と疑いつつ、カチンときた私は遠慮せず反論する。


「機長に意見するのは、大事なことではありませんか。千里さんも安全運航のために気がついた点はすべてクリアにしたいんでしょうし」
「もし、それで呼吸が合わなくなって事故を起こしたら?」


 間髪入れずに返され、私は口をつぐんだ。

 確かに、機長と副操縦士のコミュニケーションがうまく取れていないことが要因のひとつとなり、航空事故やインシデントを起こした事例は過去にいくつかある。それほど重要だというのはわかっている。

 でも逆に、機長が間違っていて副操縦士が声を上げていれば防げた事例だってあるのだ。ただ従うだけが正しいとは思わない。

 私は無意識にぐっと手を握り、真柴さんは冷めた表情で話し続ける。