俺様パイロットは契約妻を容赦なく溺愛する【極上悪魔なスパダリシリーズ】


「あ、つぐみちゃん」


 姿を現したのは真柴さんだ。軽く手を上げてこちらにやってくる彼に、「どうも」とぺこりと頭を下げる。


「君もいたんだ。ここのテラス、酔い醒ましにちょうどいいよね」
「真柴さんはたいして酔ってないんじゃないですか? 全然顔に出てない」
「まあね、お酒と女の子は大好物だから」


 あっけらかんと節操のない発言をする彼を、私は歪んだ笑みを浮かべてじとっと見つめる。彼は困ったように笑い、「そこで黙ると俺がただの変態になっちゃうでしょ」とツッコんだ。

 私もおかしくなって笑っていると、真柴さんは意味ありげな瞳でこちらを見てくる。


「つぐみちゃんとプライベートで話したのは初めてだけど、君は面白いね。天澤が気に入って嫁にするだけあるな」


 突然、千里さんの名前を出されてギクリとした。しかも、私たちが夫婦だと知っている。

 同じエアラインのパイロットならすでに情報が流れていても不思議ではないので、私は「ご存じでしたか……」と苦笑しつつ肩をすくめた。

 真柴さんは私から視線を逸らさず、質問を繰り出す。