なんだかちょっぴり恥ずかしくなり、取り分けられたカルパッチョとフォークを手に取って話を逸らす。
「それにしても、驚きました。泉さんと玲香さんが幼なじみだったなんて」
「ああ……子供の頃、家が近所でよく遊んでいて。高校以降は疎遠になっていたけど、羽田で働き始めてから再会したんだ。まさかあんなに男癖の悪い子になっているとはね」
泉さんはグラスを口に運びつつ横目で玲香さんを見やり、苦笑を漏らした。
いつの間にか敬語ではなくなっているし、玲香さんに関しては遠慮がなくて、彼の新たな一面が露わになっている気がする。
「つぐみさんが心配で今日来たのは本当。本気かどうかはわからないけど千里のことまで狙っていたらしいから、あなたが絡まれたら助っ人になろうと。本人は無邪気なだけで悪気はないんだけどね」
どうやら本当に私を気にかけてくれていたみたいだ。玲香さんの性格もよくわかっているようだが、千里さんにアタックしようとしたことまで知っているとは。
私は食事する手を止めて、泉さんにこそこそと問いかける。



