「幼なじみ……!」
「くされ縁ってやつですよ。玲香がつぐみさんに絡んで困らせないか心配で来ました」
ふわりと微笑む泉さんだけれど、なにげに玲香さんをディスっている。彼女は「なにもしないわよ!」と頬を膨らませ、泉さんから少し離れた席に座った。
親しげなのが伝わってきて、私も自然に笑みがこぼれる。泉さんがいてよかった。気を楽にして話せる人が男性陣の中にもいれば安心だ。
泉さんが「ここ、どうぞ」と隣の席に促してくれたので、お言葉に甘えて座ることにした。皆それぞれ席につき、まず飲み物を選ばせてもらう。
そうして自己紹介をする流れになっていたとき、遅れてもうひとりの男性が姿を現した。
「悪いね、遅くなりました」
人当たりのいい笑顔を見せてやってきたのは、日本アビエーションの機長である真柴さんだ。緩くうねる髪に目鼻立ちのはっきりした顔立ちで、三十八歳という実年齢より若く見える。
学生時代はサッカー部に所属していたらしく、健康的な肌色とがっしりした体格で、制服を着ていなければスポーツマンに間違えられるかもしれない。



