たわいない話をしていると、千里さんから少し間を空けた席に家族連れが座った。年長さんくらいの男の子が、パンフレットを見ながらとても楽しそうに両親に話しかけている。
星に負けないくらい目を輝かせているその子を見て、私も自然に頬が緩んでいた。
「可愛い、あの男の子。将来の夢はパイロットだったりして」
なにげなく呟いて微笑ましげに男の子を眺めていたとき、ふと視線に気づいて千里さんに目線を移す。彼は意味ありげな瞳で私を見つめている。
「子供も欲しい?」
どことなくセクシーな声色で聞かれ、ドキリと心臓が鳴った。
子供……って。つい昨日、美紅さんの影響で真剣に話し合わなきゃいけないと思ったばかりだけど、まさか今そんな話になるとは想定外すぎて言葉に詰まる。
いや、よく考えてつぐみ。これはさっきの指輪と同じパターンじゃないか。私がどう答えようと、千里さんはきっとまた『聞いただけ』と返してくるに違いない。
すぐにそう思い至った私は、ムスッとして口を尖らせる。
「どうせまたからかうんでしょう。答えませんよ」
「欲しいなら素直におねだりしてみな。さっきみたいに」



