「お金貯めていつか自分で買おう……」
「虚しいな」
「誰のせいだと!」
憐れみつつ口の端を持ち上げる彼を、軽くひっぱたきたくなった。酷い旦那様だ。
憮然としてぷいっと顔を背けると、その先に掲げられている広告が目に入り、瞬時に私の思考が切り替わった。一面に広がる星空を見れば、プラネタリウムの広告だとすぐにわかる。
私が運航管理の仕事を選んだのは空が好きなせいでもある。特に綺麗な星空は、東京ではどこでも見られるわけではないから、特別感があってたまらない。
「プラネタリウム! 久しぶりに見たいな」
今しがたの不満はどこへやら、私は目を輝かせて声を上げた。しかし、パイロットである千里さんにとって、星が見られるのはそんなに特別なことではないとすぐに気づく。
「あ、千里さんは見慣れてるからつまらないか」
「空を眺めるのは飽きないって言っただろ」
返ってきたのは、意外にも好意的な反応だった。今度は私の望みを叶えてくれるようで、彼はわずかに笑みを浮かべて歩き始める。
仕方ない、これでチャラにしてあげよう。なんて思いながら再び気分をワクワクさせ、私も彼の隣に並んで会場を目指した。



