「……羽衣坊、お前社会人だったんか」

「そこですか」



大我と一緒に住んでること、そうなった経緯、私が誰とも付き合ったことがないと分かってから甘い攻撃を仕掛けられて揶揄われていること。

そしてさっき見た光景。

それによって誤魔化せなくなってしまった自分の気持ち。

それら全てを坂崎さんに打ち明けた。


するとコーヒーを飲みながら静かに話を聞いてくれていた彼の第一声がそれで、思わず笑ってしまう。

「だって大学生くらいかと思ってたもん」

「まあ、半年前までは大学生でしたけどね」

「道理でオレもおじさんになる訳だ」

頬杖をついて一瞬窓の外に視線を移し、しみじみ呟いた彼はまた私に視線を向けて話を戻す。

「ま、そんなことされたら好きになっちまうよなあ、恋愛初心者の羽衣坊ならなおさら。……でも………」

「……え?」

一瞬考え込むような素振りを見せた坂崎さんだったけど、ふるふると頭を振って言葉を続ける。