動揺しまくりの私に、口元にゆるく弧を描きながら大我がじりじりと四つん這いで近づいて来る。

「なっ、なんですか………っ」

こうしているとまるでライオンにロックオンされた獲物みたいだ。

でもすでに大我から離れるために四隅の一角で壁にぴったり背中をくっつけている私に逃げ場はない。

7畳の和室であっという間に距離を詰められ、私の目の前に胡座をかいて座る大我。

そして顔の半分以上を隠していた掛け布団がガバッと引き剥がされた。

それからそっと伸ばした手で私の右サイドの髪を耳に掛け、


「ふはっ!耳まで真っ赤」


そのまま大きな手のひらで私の右頬を包み込む。

触れられた右頬に全神経が集中する。この体制に、いやでもこの前ファーストキスを奪われた時のことを思い出してしまい、余計に顔が赤くなる。

「……可愛い」

「……っ、んなっ……っ」

ふ、と大我が優しく笑うから、それに反応して胸がきゅんと鳴く。

これだって私の反応を見て揶揄っているに違いないのに、素直に反応してしまうこの胸が恨めしい。