「ケンカはダメ!って図体のデカイ高校生男子がちっちゃい小学生女子に怒られてさ。どっちが歳上だよって、笑ったなあ」

「ああ。でもそれで羽衣、よくオレたちにケンカふっかけて来てた南高の竜たちんところに乗り込んじまって」

大我が眉をハの字にして困ったように笑う。

「ああ!羽衣ちゃん人質事件ね」

「"てめえんとこのチビ預かってる"って聞いた時はさすがに焦った」

ああ……。それもなんとなくだけど覚えている。

大我と遥くんにいくら言ってもケンカをやめないから、"大我と遥くんにケガさせないで!"って直接ケンカ相手に言いに行ったんだった。

大我たちに鍛えられた後の私って本当に怖いもの知らずだったんだな。大我たちと対立してた不良グループのところに1人で乗り込んで行くなんて、無鉄砲にも程がある。


「血相変えて仲間引き連れて乗り込んだら、"今日はこのチビに免じて休戦だ。危ねーから放し飼いにすんな"って竜があっさり羽衣ちゃん返してくれて、こっちは拍子抜け」

「それでその後私、大我にこっぴどく叱られたんですよね。"1人で無茶するんじゃねえ!"って」

思い出して苦い笑いが溢れる。