過保護な次期社長の甘い罠〜はじめてを、奪われました〜

あれ⁉︎なんか言い方間違えちゃった……⁉︎

大我の言うそれももちろんなんだけどね⁉︎

って私は何を言っているんだ……!

1人顔を真っ赤にしてあわあわする私を、顔を上げた大我が困ったように眉を下げて、でも艶っぽく笑う。

「……そういうところもくそ可愛い」

そう言って真っ赤になった私の頬を包み込み、親指で私の涙を拭ってくれた後その手でサイドの髪を一筋耳に掛ける。

そして不意打ちでカプ、と左耳を食まれれば、

「ひゃ……っ⁉︎」

ぞわぞわと背中に何かが駆け巡り、声が漏れ出てしまう。

「今すぐここで食いたいところだがそれは我慢する。だが帰ったら覚悟しとけよ?」

鼻先が触れそうな距離で尋常じゃない色香を纏い、熱のこもった眼差しで私を見つめいたずらっぽく片方の口角を上げた大我は、ちゅ、と啄むようなキスを落とした後、カチ、と私のシートベルトを締めた。


そうして出発した車の中で大我と両想いになれた幸せを噛み締めつつ、帰ったらどうなってしまうんだろう……と、運転する大我の横顔を盗み見ながらこれから先のことを想像してしまう。

その想像に1人顔を真っ赤にしながらドクンドクンと忙しなく脈打つ心臓をなんとか落ち着かせようと、私は通り過ぎて行く対向車のナンバープレート4桁をひたすら足すという作業に現実逃避したのだったーーーー。