過保護な次期社長の甘い罠〜はじめてを、奪われました〜


「真央ー、ダメだ、虎太朗パワー有り余りすぎ……」

さらには微かにそんな声が漏れ聞こえて来て、もう頭が追いつかない。


ママ⁉︎パパ⁉︎真央⁉︎


ダメだ、情報量が多過ぎて全然処理しきれない……!

「も、桃ちゃん……?」

「ああ、ごめんごめん!これ、虎太朗3歳、私の息子」

……そうですよね、やっぱりそうなりますよね。

でもじゃあ……

「真央って……?」

素直にその疑問を口にすると、

「私の名前だけど……って、あれ、ひょっとしてウイウイ、私の名前が桃だと思ってた⁉︎」

「違うんですか⁉︎」

桃ちゃんが驚いたように声を上げたけど、それ以上に驚いた私は食い気味に聞き返してしまった。

「桃田 真央で桃って呼ばれてたんだよ。今は結婚して宮村 真央になったからもう桃ではないんだけどな」

そう言ってカラカラ笑う桃ちゃんに、私の目は点になる。

「……オレと桃のこと、何をどう誤解していたのか分からんが、これが事実だ」

隣で静かに聞いていた大我がそこで口を挟む。

次々発覚する私の想像を遥かに超えた事実に、私の目から意図せず涙が溢れた。

たぶんびっくりしたのとほっとしたのと嬉しいのと。

いろんな気持ちが込み上げて来て言葉にならず、涙となって出て来てしまった。