過保護な次期社長の甘い罠〜はじめてを、奪われました〜

「この前共通の友達のレストランウェディングで大我とも久しぶりに再会してさ。帰り車で送ってもらったんだけど、大我、もう可愛くて堪らないって顔でウイウイの話すんの!披露宴の間言い寄って来てた女たちのことはにこりともせず相手にしなかったくせにだよ?」


……ちょっと待って……。


それって私が見たあの日のこと?

じゃあ私が見た桃ちゃんに向けられていたあの愛おしくて堪らないって顔は、実は桃ちゃんにじゃなくて私に向けられていたってこと……⁉︎

反射的に大我の方を見ると、バツが悪そうに視線を逸らされた。

予想外の事実に二の句を告げないでいると、不意に「まぁまっ!」と舌ったらずな声がして、桃ちゃんだけだった画面に可愛いお顔が映り込んで来た。

「おー、虎太朗(コタロウ)、パパとトレインジャーごっこ終わったか?」

「うん、やっちゅけた!」

にっこー!と満面の笑みで手に持つ剣を掲げ、桃ちゃんに頬ずりするその男の子はくりっくりの二重の瞳だとか、笑うと浮かぶエクボだとかが桃ちゃんにそっくりで、とても愛らしい顔立ちをしている。