過保護な次期社長の甘い罠〜はじめてを、奪われました〜

「けど羽衣はあの頃オレたちが付き合っていたと思ってたらしい」 

「あははっ!どうしてそうなるんだよ!ないないっ!私が好きだったの遥だし!」

豪快に笑い飛ばす桃ちゃんに、私は唖然とするしかない。

どうやらさっきの大我の話は本当だったらしい。

しかも2人の会話からすると、会社の前で見たツーショットはただの偶然の産物だったようだ……。

「ってかひょっとして今ウイウイそこにいんの?」

「ああ」

大我がホルダーのアームを私が映るように調整する。

「うわーっ!マジであのウイウイなの⁉︎なんかすっかり大人の女になっちゃったなあ!」

「桃ちゃん、お久しぶり、です……」

桃ちゃんの勢いに押されてタジタジの私は苦笑い。

「ああ、ほんと久しぶり!……こりゃあ大我が可愛くてしょうがないって顔になんの、分かるわー!」

「え?」

「……おい」

大我のドスの効いた声に気づいているのかいないのか、向日葵が咲くみたいな満開の笑顔で桃ちゃんは続ける。