過保護な次期社長の甘い罠〜はじめてを、奪われました〜





「……オレは一体何を見せられてんの?」



どのくらいキスされていたのか、苦笑を滲ませたその声に私も我に返り、坂崎さんの前だったことを思い出す。

それと同時に込み上げてくる羞恥心。

慌てて大我の胸を押すと、ゆっくりと名残惜しそうに唇が離れた。

キスの威力と恥ずかしさから、真っ赤になってしまった顔で大我を睨めば、

「見せつけてやってんだよ。……でもこの可愛い顔はオレ以外には見せらんねえわ」

心なしが顔を赤くした大我がまた私を抱き締めて、私の顔をその胸に埋めてしまう。

「もう見んじゃねーよ。減っちまうだろうが」

「減るかバカ。それにオレが見てんのは羽衣坊じゃなくて、お前のその、羽衣坊が可愛くて堪んねえって顔なんだけど?」

「は?」

「ははっ、なんだよ、全然付け入る隙ねえじゃん」

揶揄うようにけらけら笑う坂崎さん。

「……大丈夫だよ、羽衣坊。昔っからこいつの唯一の弱点は羽衣坊だったんだ」

「……え?」

「こいつにこんな顔させられんのは、今も昔も羽衣坊だけなんだよ。だから大丈夫」

さっきとは打って変わって優しげなその声にもぞもぞと顔を上げれば、「顔上げるんじゃねえ」そう言われてぽすん、と私はまた大我の胸に逆戻り。