※あの乙女はニセモノです


この子が年下だから?



おばあちゃんの恩人だから?



ううん、どっちもしっくり来ない。



でもこの子を簡単に男だからと一括りに見ることが出来ない。



初めて会ったのに、初めてじゃないみたいな。



…そうか。



昔、少しの間だったけど仲良くしてくれたあの子。



その子に少し似てるなって思ってしまったからかも。



幼げな顔も小さな身体も、少し高い優しい声もなんだか懐かしさを感じる。



まぁその子の名前もどこに住んでるのかもわからないけど。



私の名前を呼ぶあの子の声が暖かくて優しくて好きだった。



それだけは今も覚えてる。



「あの。お孫さん来たみたいだし、俺はそろそろ帰ります。おばあさん、お大事に」



そういって男の子は俯き気味のまま席を立ち、鞄を肩に掛けた。