ナデシコの正体が、伊月くんだということが分かって、……抱きしめ合って。

そのあとは、お互いに少しだけ気まずい雰囲気で、教室を出た。


ふわふわした気持ちで下校し、自分の部屋にいてもまだふわふわ足元が浮いているみたいで。


そのドキドキを抱えたまま、翌日に登校をしたら、伊月くんはすっかりいつも通りに戻っていた。


本当に、驚くほど、いつも通り。

片方のイヤホンを貸してくれて、ふたりでナデシコの曲を聴いた。


あとは、その繰り返しの日々。

そのまま、新学期をむかえてしまった。