歌が、それで最後だったのかは分からない。

私が伊月くんに抱きついて、強制終了させてしまったから。


「伊月くん……っ!」


伊月くんは一瞬驚いた反応を見せたけど、ゆっくりと私の背中に腕を回した。


「もう歌えないと思ってたのに、真桜を想うと、俺も知らなかった歌がどんどん出来上がっていくんだ」


無意識なのか、伊月くんは腕の力をぎゅっと強くする。


「好きだよ、真桜」


両耳で、君の声を聞く。

本当に、心臓に悪い。


「私も、……大好き」


何度でも、恋に落ちる音が聞こえる。

君の声で、今日も恋がはじまる。