昨日はあれから、普通に家に帰って、朝をむかえた。

今日は、月曜日。

私は、延藤くんにちゃんと話そうと決めていた。

虫のいい話だとは思うけれど、伊月くんがナデシコだということは秘密のままにしてもらえるよう、お願いしてみよう……。


周りからはきっと、延藤くんと別れてすぐに、伊月くんのそばに寄る嫌な女に見えてしまうと思う。


また無視もされるだろうし、成美ちゃんにすら呆れられるかもしれない。


それでも、私が勇気を出せるのは今しかないと思うから……。


昨日の、伊月くんの手のぬくもりを思い出す。


自室で制服に着替えて、洗面所の鏡で自分を見た。


「……がんばれ」


そう言って、私は頬に手を当てた。