「? 真桜、なんで笑ってんの?」


しまった、バレた。


「ううん、なんでもないよ。伊月くんがいっぱい話をしてくれるのが、嬉しいだけなの」

「なんだ、それ」


フッとやわらかな笑顔を見せて、伊月くんは私の手を取った。


油断していた心臓が、ぴょこんと跳ねる。

一気に酸素が薄くなって、たまらない気持ちになる。


「でも、……姉さんに言われて」

「……今井先生?」


もしかして、先生の前で泣いてしまった時のことを?


延藤くんと付き合うことにした本当の理由を、今井先生には話してしまった。

伊月くんに知られてしまえば、優しいこの彼は気にしてしまうからと、口止めをしたはずだったけど……。


まさか、そのことを?