延藤くんはガバッと立ち上がって、私の手をつかむ。


「延藤く──」


またどこかに引っ張っていかれる!?

そう思い、すぐに身構えるけど、


「駅、戻ろう。今日は、来てくれてありがとう」


延藤くんの口から出たのは、予想外の言葉だった。


「え? 駅? 戻っていいの……?」

「またどっかに連れていかれると思ったでしょ」

「うん……」

「はは、正直」


延藤くんはまだ少し赤い顔で笑って、包み込むように優しく、私の手を握り直した。


「しないよ。さすがに、俺だってこれ以上嫌われたくないしね。本当は、真桜ちゃんが来てくれただけで充分だったんだ」