伊月くんがこんなに怒っている顔は、初めて見た。

三人は後ずさりをするけど、その内のひとりは、それでも食い下がる。


「そ、その子は彼女じゃないんでしょ!? 伊月くんが好きなのって、誰なの!?」

「は? 真桜以外の女子なんか、好きだと思ったことないけど」


低い声色で即答したあと、伊月くんはもう一度「出て行け」と睨みつけた。


「も、もういいよ、行こう……。伊月くんって、そういう人だったんだね」


ひとりが合図をして、バツが悪そうに三人とも教室を出ていった。


……今、何が。