ナデシコの声に恋をしている、伊月くん。

その、正体は──


「テキトーなこと言ってんなよ!」

「いた……っ!」

体を押さえつけられ、髪の毛を引っ張られたのと、同時。

「何してんだよ!」

突然乱入してきた怒鳴り声に、私たち四人は一斉に声の方を見た。

教室の扉のところで、伊月くんが青い顔をしている。


「……全員、真桜から離れろ」


冷たい声でピシャリと言い捨てられ、三人は「ひっ……」と悲鳴を上げて、反射的に手を引く。


「早く出て行け」