でも……。

「私にこんなことしたって、無駄だよ」

「はあ?」


私の口から出た言葉に、目の前の顔が不機嫌に歪んで、その迫力にビクッと肩が跳ねる。

三対一。

何をされるんだろう、怖い。

確かにそんな気持ちはあるのに、つい先ほど目撃したの出来事の方が、私には大きかったみたい。

隠したはずの涙が、いとも簡単によみがえった。


「伊月くんには、好きな人がいるの。それは私じゃないし、あなたたちでもないから……」