イヤホンを片方借りるようになって、よく喋るようになったのは、ナデシコの曲を聴かせてもらったからだけど……。


「……」


腕の中のクッションに、ぎゅうっと力を込める。


それなら、結局は、私が伊月くんを好きなのはナデシコのファンだからってことになっちゃうの?


この気持ちは、憧れなんかじゃない。

それだけは、揺らぐことのない確かな事実で。


……でも、恋との境い目は、どの辺なんだろう。


私のこの感情は、ただの憧れの延長なの?