延藤くんとどうやって別れて、どうやってここまでたどり着いたのか、まるで覚えていない。

気づいた時には、私は自室にいて、制服のままベッドの上で、クッションを抱きしめていた。


延藤くんの言葉が、頭から離れない。


私の、伊月くんに対する気持ちは、恋じゃない……?

ただの憧れ?


……ううん、違う。

だって、私は伊月くんが好きだってはっきりと自覚しているし。

伊月くんがナデシコだと分かる前から、彼がひとりで音楽を聴いている姿が、気になっていたし。