話し始めたと思ったら、突然の暴言。

またひと口しか飲んでいないメロンソーダを、缶から思いっきり零すところだった。


「そういう風に、ただただナデシコが好きなだけの真桜ちゃんには、理解できないかもね。俺みたいに、好きが真逆に変わることなんか」


そこまで私に焚きつけて、延藤くんは深いため息をつく。


「真桜ちゃんさ、俺の歌、さっき上手いって言ったじゃん。俺も、少し前までは、自分がめちゃくちゃ歌上手いって思ってたんだよね」

「……うん?」


過去形?

正直、延藤くんは今でもめちゃくちゃ歌が上手いと思うけど。