「え? 延藤くんも、ナデシコを……?」


聞き間違いじゃない?

あんなに伊月くんを嫌っている延藤くんが、まさか……。


「そうだよ。俺も真桜ちゃんみたいに、全然人に知られていない頃から、ナデシコが……伊月の歌が、好きだった」


開いた口が、元に戻らない。

まばたきすら、忘れてしまう。


延藤くんが、私と同じ?


「真桜ちゃんって、別に歌うのが好きなわけじゃなかったんだっけ? だからかな。ずっと今でも、ファンでい続けられるのって」