「伊月くん、ごめん! 半分出すね。いくらだった?」


すでにレジで支払いを終えたばかりの伊月くんに、飛びつくような勢いで追いつく。


「いいよ、いらない。呼び出したのは、俺だから」

「ううん、そんなわけには」

「本当にいいから」


かばんから財布を出す私の手を、伊月くんはやんわりと押し返した。

これは、多分絶対に受け取ってくれない。

それなら……


「……えーと、じゃあ、次は私に払わせてね。絶対ね」

「次?」


伊月くんのキョトンとした表情を見て、ハッとする。


「次」なんて、調子に乗ったこと言ったかもしれない……!?