「本当はさ、あの頃ちょうど、もう歌うのはやめようかと思ってたんだよ」

「えっ!?」


驚きで、思いのほか大きな声が出てしまい、とっさに周りを見る。

そういえばここは、私たち以外にもお客さんがいる、ファミレスの中だった。

ちょっと恥ずかしくて、うつむき加減にお冷をひと口。


「声変わりのせいで思ったように声は出せないし、かすれるし、人気も出ない。だからもういいかなって、諦めかけてた」


当時を思い出すように、伊月くんは悲しそうに笑う。

だけど、再び目が合ったその時、口角を上げた。