「それはないよ」


伊月くんの返答に、猫背のまま顔を上げる。


「俺が、真桜を嫌いになるわけないじゃん」


以前言っていたことを、思い出す。


伊月くんは女嫌いみたいなのに、どうして私にはイヤホンを貸してくれたんだろう。

私はまだ、その理由を聞いていない。


「あのさ、真桜は、延藤のこと……」

「え?」

「……いや、なんでもない」