少し悲しそうにうつむく伊月くんの姿に、思い当たることがあった。


「もしかして、今日ずっと私を避けてたのは、そういうことだったの?」

「うん、まあ……。一応、延藤が彼氏ってことになってるのに、俺が真桜とふたりきりになるのを見られるの、あんまりよくないかと思って」

「なんだ……」

「なんだ、って?」


体の力が抜けて、張っていた背筋がふにゃっと猫背になる。


「伊月くんに、嫌われたのかと思って……」


ひとりで教室を出て音楽を聴いている姿を見るたびに、寂しかった。

あそこには、隣には、わたしがいるはずだったのに、って。