屋上の扉の前に立ち、ドアノブを握る。

スーハーと深く呼吸を繰り返して、手に力を込める。


扉の向こう側から、光が射し込む。

眩しさに、目を細める。


その光の中に、……見つけた。


「伊月くん……」


ふたりで座った、その場所に。


「……真桜?」


イヤホンをしているのに、伊月くんは私に気づいてくれた。

それは、いつもと同じように、私の片耳分を空けてくれていたから。