まさか、延藤くんがそんな人だったなんて。

いら立ちが大きすぎて、言葉も出ない。


私はうつむいてこぶしを作り、少しだけ平静を取り戻した。


「私と延藤くんが付き合ったからって、伊月くんが悔しがるとは限らないよ」

「さすがにそれは、とぼけすぎでしょ。真桜ちゃん、自分のこと分かってないの?」

「……確かに、今は私が伊月くんに一番近い女子だとは思うけど」

「あー、その程度の認識なんだ?」

「?」