隣の席になる前のことはよく知らないけれど、
伊月くんの姿が見えなくなることなんて、そうそうなかった気がする。


授業は毎回真面目に出ていたし、休み時間なんて私にイヤホンの片方を貸してくれていたし。


「伊月くんが屋上に来てたのって、放課後とか?」

「いや、休み時間とか、たまに。ひとりになりたかった時に」

「? そうだった?」


休み時間にいなかった時、あったかな?


「あー、でも、最近は来てなかったけど」

「そうだよね。伊月くん、休み時間はいつも、私にイヤホン貸してくれるもんね」

「うん、真桜と隣になってから、ここにひとりで来ても意味なかったし」