耳をすましてみると、どこかの教室から、授業を行なっている先生の声が聞こえた。

きっと延藤くんも、とっくに教室に戻って、授業を受けている。


そんな中、私たちふたりだけは、こうしてふたりきりでいる。


なんだか、悪いことをしている気持ちになる。


伊月くんは私の手を握ったまま、相変わらず口を開かない。