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すっかり雪が積もって、クリスマス仕様に飾られた町は、キラキラまぶしい


「ジングルベール、ららららんっらん」

「いや、知らないなら歌わないでよ」


変なリズムだね、そう言って笑いながら私の頭に手を置いたのは、今日も格好いい湊先輩


首もとには、私が選んだ黒い無地のマフラーが巻かれている


ふふっ、マーキングしてるみたいで見るたび嬉しくなっちゃう



「……ちょ、先輩。何で離れていくんですか」

「危険な香りがしたから」



先輩を見上げて詰め寄れば、隣を歩いていたのにどんどんと先に歩いて行ってしまう先輩


もー、冷たいなぁ


先輩のデレデレゾーンなんて、滅多に突入しない


距離感が近いのはいつものことだから、それはデレデレゾーンに入ったことにはならない



それが、先輩の良いところでもあるし、先輩がデレない分、私が引っ付き回すから良いんだけど……


良いんだけど……





ただ少し寂しいよ




私ばっかりって思わずにはいられなくなった



片想いの時は追っかけ回すだけで、満足してるところがあった


でも、でもでも、今は両想いだよ?



少しでいいから、恋人っぽいことがあってもいいんじゃないですか?



………なーんて



一人で不安になってモヤモヤしてる時間があったら、先輩に引っ付いてよっと




「湊先輩!手、繋ぎましょ?」


「ん、おいで?」


うん、お願いしたら、こうやって手を繋いでだって歩いてくれるし……


私は充分、幸せだよね…