湊先輩の膝元でシクシクしている裕先輩の首もとに目がいった


決して首筋フェチだからとかではない


赤いチェックのマフラー


「あああっ!!」

「わぁっびっくり」

「なに、どしたの」


大声を上げて立ち上がった私を不思議そうに見上げている二人

「先輩、これ!!」

「ん?」

小ぶりな紙袋を先輩に渡す


最近は寒くなってきたから、私からのプレゼント

去年、真冬でも湊先輩の美しい首筋が露になっていたのを思い出して、急遽用意した



「……羽華、これ」


「えへへ、手作りです!」


そう、湊先輩を毎日思って作った………




「………雑巾?」


「マフラーあああああですっ!!!」



紙袋からつまみ上げるようにして取り出された黒いマフラー………らしきもの

湊先輩は怪訝そうに眉をひそめて、それをつまみ上げなにか珍しい物を見るように眺めている


「わぁ……羽華ちゃん、新手の嫌がらせかな?」

「ゆ、裕先輩まで…」

そ、そんなに酷いかな

湊先輩の手からマフラーを受け取って、改めてそれを見つめた


マフラーにしては長さは短いし、縫い目は荒く所々毛がほろびでている

あぁ、これは確かに


「雑巾ですね」

「……」

「羽華ちゃん……」


完成した瞬間は輝いて見えたんだよ!!

だから、決して嫌がらせとかではっ!


恥ずかしくて、雑巾もどきのマフラーに顔を埋めていたら、ヒョイッと手元からマフラーが無くなった


「先輩?」

「これ、貰うね」



コレ、モラウネ?


真顔でクチャクチャのマフラーをたたんで紙袋に詰めなおした湊先輩


「ありがと」


「み、湊…」

「湊先輩……」

私達二人に見つめられて、若干照れ臭そうに反対方向を向いてしまった先輩


紙袋を大事そうに抱えて……




「もしかして、ゲテモノ好き……?」



「…………やっぱり燃やそうかな」

「いや、っいやいや!嘘ですごめんなさい、私の愛を受け取ってください」


冷ややかな目で見つめられて、萎縮してしまう

でも、だって


そんな、雑巾みたいなもの、貰ったって…

「もしかして、本当に雑巾として?」

「それも、アリかもね」

「やめてくださいよぉ」

先輩の肩にしがみつけば、クスリと笑われた


「不器用な羽華が作ってくれたんでしょ?」

「う"ぅ、はいぃ」

「じゃあやっぱり貰う、……嬉しいし」

そう言って、私に微笑むと、優しく頭を撫でてくれた


もー、本当に格好いい!


うざがられながらも、先輩の腕にしがみついていたら、裕先輩が不思議そうな表情を浮かべて、目の前まで来た


「羽華ちゃん、でもなんでいきなりマフラー?」

「だって湊先輩、毎年首もとが寂しそうだから…」

「…あぁ、買いに行くの面倒くさくて…」

「そーゆー所!よくないですよ!!」

「そーだ、そーだっ!!」

またもや私達二人に詰め寄られてうざそうに顔を歪めて、明後日の方向を見始めた先輩



「じゃあ、」

「?」


私の手を取って、首を少し傾けて、綺麗な黒い瞳を揺らして言った



「一緒に買いに行こ」




「はい!!」



そんな私達の様子を微笑ましそうに見ている裕先輩


いつもは私か先輩のお家でのんびり過ごすだけだから、久しぶりのお外デートに心が踊って



この後の授業で、毎回担任に鼻唄を歌うなと怒られました